Q&A
自己破産をしても相続できますか?
1 自己破産をしても相続すること自体は可能です
結論から申し上げますと、自己破産をしても相続をすることはできます。
自己破産をしたことは、法律的な説明としては、相続人となる資格を失う理由とはされていないためです。
ただし、自己破産の手続きの開始決定がなされる前に相続が発生した場合、自己破産と相続はお互いに様々な影響を及ぼすことになります。
破産手続開始決定がなされた後に相続が発生した場合には、特に問題は発生しません。
以下、破産手続開始決定前と後に相続が発生した場合のそれぞれについて、詳しく説明します。
なお、自己破産とは直接の関係はありませんが、多額の借金を負っていたことや、その借金が被相続人に与えた不利益の程度によっては、相続廃除が認められ、相続人になることができなくなる可能性もあります。
2 破産手続開始決定前に相続が発生した場合
まず、相続した財産の内容(評価額等)によっては、自己破産をすること自体ができなくなる可能性があります。
自己破産をする必要がなくなるともいえる場合です。
破産手続の開始決定をするためには「支払不能」という要件を満たす必要があるためです。
相続した財産が債務額を超える場合や、相続した財産をもって債務の一部弁済が可能であり、残りの債務を3年程度で分割して返済することが可能であると考えられる場合、破産開始決定がなされない可能性があります。
【参考条文】(破産法)
(破産手続開始の原因)
第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
(第2項略)
相続で財産を取得しても、支払不能ではなくならないという場合には、破産手続きの開始決定がなされます。
そして、相続で取得した財産は債務者の方の財産となりますので、原則として破産手続きによって換価され、債権者への支払いに充てられることになります。
3 破産手続開始決定後に相続が発生した場合
自己破産の手続きが開始された後に相続が発生した場合、その相続によって取得した財産は換価の対象とはならず、取得することができます。
破産手続きによって換価の対象となる財産は、破産者(債務者)が破産手続き開始決定の時において有する財産とされているためです。
【参考条文】(破産法)
(破産財団の範囲)
第三十四条 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
(第2項以下略)
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